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ラブプラス+の発売も近づいてきた今日この頃、
リンコのSSを書いてみました。
よかったら読んでみてください

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※本SSは二次創作です。ゲーム「ラブプラス」の設定とは異なります。
 ご理解の上閲覧ください。

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 体育館の壁を通して響く重低音を聞きながら、僕は手の中の紙切れを改めて見た。
『軽音部ライブ十四時から! 体育館にて』
 そう大きく書かれたビラには出演するバンド名がずらりと並んでいる。軽音部内で組まれたバンドがほとんどのようだが、中には部外からの参加バンドも含まれている。
――――。
 会場への扉を開くと音は一段と大きくなった。ステージ上で演奏している三人組バンドは、流行りの曲のコピーで沸かせていた。ちょうど最後のサビだったらしく、ボーカルの男子生徒が大仰に腕を振り回すパフォーマンスで曲のクライマックスを迎えている。
 やたらと長い引きで曲が終演すると、ステージ前で聴いていた客から歓声が上がった。おそらくバンドメンバーの身内なのだろう。指笛や名前を呼ぶ声が飛び交っていた。メンバーは各々の楽器を持ってステージを後にする。
「ありがとうございましたー! さて、続いては一般参加のバンド、“Savacan”の皆さんです!」
 放送部員らしき女子生徒の呼び込みでステージに上がってきたのは、四人組の男女だった。一般参加らしく年齢もバラバラに見える男が三人と、学生っぽさを残す少女がステージ上でセッティングを開始する。メンバーはキーボード、ベース、ドラム、そしてギターボーカルという構成だ。
 少女はギターを肩に掛け、スタンドマイクの前に立って位置を調整している。前バンドのマイクの高さでは身長が合わないらしい。
『……あ、あー』
 マイクのスイッチが入るブツリというノイズの後、増幅された彼女の声が体育館に響いた。緊張しているのか、表情が固いのが見てとれる。
『……んんっ』
 少女は小さく喉を鳴らすと振り返り、彼女の背後に位置するドラム担当に合図を送る。ドラムの男は静かに頷き、スティックを振り上げた。

 マイクにのらないドラムスティックの小気味いい音が響くと、それを合図に演奏が始まった。聴いたことのないギターリフが先導する。僕が知らない曲なのか、オリジナル曲なのかはわからない。
『――こころにえがくおおぞら』
 ボーカルの少女が歌い出す。彼女は優しい声で囁くように歌う。しかしそれは決して弱々しいわけではなく、相手に語り変えるような、どこか芯の通った歌声だった。
 安定した低音の響き、通り抜けるようなパーカッションの音、決して浮くことのない鍵盤の味付け、そして背伸びすることのないギターの快音が混ざり合い、会場を包んでいた。
『あいするきもちをつばさにかえるよ――ふたりでならどこまでもいける』
 思わず聴き入ってしまっていた。恥じらいを残した表情で歌う彼女に魅入ってしまっていた。
 周りを見渡すと観客はそれぞれ肩でリズムをとったり、ステージ上の彼女を見つめていたりする。それは彼女らが観客に受け入れられている証拠だった。
 ステージ上以外は薄暗い体育館の中で、一人の男子生徒の姿が目に入った。彼もまた、ステージに立つ彼女を見つめているが、その表情は周囲のような羨望のものとは違って見えた。彼の目には安堵のようなものが映っているように僕は感じた。
 そんな彼の顔を見て、僕は胸が締め付けられるような思いだった。


 軽音部のライブが終わり、僕はまた一人で校内を歩いていた。太陽は沈みかけ、人々の声もまばらになってきた。文化祭も終わりを迎えようとしている。
 ふと体育館の脇でギターケースを背負った小柄な女子生徒の姿が見えた。先のライブでギターボーカルを務めていた彼女だ。きょろきょろと辺りを見渡し、誰かを探しているように見えた。
 少女の顔がこちらに向いたかと思うと、その顔は控えめな笑顔となった。かと思えば、その事実を否定するようにムスリとした表情に変わり、腕を組んでそっぽを向く。その姿は、思わず感情が表に出てしまった自分自身を恥じているようにも見えた。
 次の瞬間、僕の横を男子生徒が小走りで駆け抜けていった。
「大成功だな、ロックスターさん」
「もう……バカ」
 彼は少女の元へ駆け寄ると、彼女に微笑みかけ、手を頭の上に置いた。俯いてしまった少女の表情はくしゃっとされた前髪隠れて見えなくなってしまう。

 僕は内心で一つため息をつく。いつも図書室で本を読んでいる同級生、小早川凛子。十羽野高校に入学して彼女と同じクラスになって以来、彼女のことが気になっていた。いつも一人で本を読んでいるか、音楽を聴いている彼女に何かしてあげられることはないだろうかと考えていた。
 でもそれは臆病な僕のエゴでしかなかった。自分は彼女の役に立てるはずだという、実際に行動に起こすことの出来なかった僕自身の妄想でしかなかったのだ。
 その後彼女に恋人が出来たことは知っていた。ライブで彼女が誰のために歌っていたのかも、それを聴いていた彼の瞳にどんな想いが込められていたのかも、全てわかっていたのだ。
 そうだ。僕は二人の元へ歩み寄る。無粋なのはわかってる。でも、これだけは伝えておきたかった。
「あの……小早川さん」
「え?! あ、クラスの……」
「さっきの演奏、とてもよかったよ」
 僕にはどうすることもできない。思いは胸にしまっておこうと誓った。最後に彼女の輝いている姿が見れただけでも十分じゃないか。
 僕の突然の言葉に驚いていた彼女だが、すぐに穏やかな表情になる。
「……ありがとう」
 入学当初の彼女からは想像もできない自然な笑みだった。




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ラブプラス二次創作 リンコSS 未分類 トラックバック(0) コメント(0)












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